日藝とは 日藝賞

日藝賞

在学生、教職員などが中心となって選考する「日藝賞」は、著しく日藝の名声を高め、
その業績が社会に貢献し、芸術を志す学生に夢を与える人物に贈られています。

各界に多彩な人材を輩出していることで知られる日藝。特にメディアやクリエイティブの世界には出身者が多く、仕事を介して同級生や先輩・後輩と偶然に出会うケースも多いようです。そんな事実に着目し、校友とのつながりを深めるために創設されたのが『日藝賞』。全ての日藝出身者を対象にその年に最も活躍した人物を独自に表彰することで、出身者への敬意を表すとともに、在学生への励みとしています。まだ形になっていない表現への衝動を、よりよいカタチで表現してほしい。そのためのフックになれば…。そんな「遊び心」が現れた日藝ならではの賞なのです。

第4回 日藝賞

日藝と校友とのつながりを深めることを目的として、2006年に創設された日藝賞は、中退者も含め、かつて日藝に在籍していたことのある人すべてが受賞対象者です。また、活躍分野は一切問いません。候補者は、在校生、専任教職員、校友会役員の投票で選ばれ、日藝賞選考委員会が業績などを審議して決定します。また、受賞者には、賞状、名前を刻んだトロフィー等が贈られます。これまでの受賞者は、三谷幸喜(脚本家)、佐藤隆太(俳優)、大石芳野(写真家)、爆笑問題(太田光、田中裕二/タレント)、宮藤官九郎(脚本家)、真田広之(俳優)の各氏。そして、第4回目の今回は、報道カメラマンの宮嶋茂樹氏と歌舞伎俳優の市川團十郎氏が受賞しました。
授賞式は4月8日、芸術学部入学歓迎式プログラムとして江古田キャンパスの大ホールで行われ、壇上から宮嶋茂樹氏が、受賞の喜びをユーモアを交えて語るとともに、新入生へ向けて力強い励ましの言葉を述べられました。歌舞伎座さよなら公演『御名残四月大歌舞伎』に出演中のため、残念ながら出席できなかった市川團十郎氏も、ビデオでメッセージを寄せてくださいました。なお、受賞者の各氏には、後日学内で講演会を行っていただきました。

市川 團十郎 歌舞伎俳優

栄誉ある日藝賞をいただきましたこと、身にあまる光栄です。本当にありがたく思います。また、新入学の皆さま、ご入学おめでとうございます。今から40数年前、私も同じ学び舎におりました。20~30人の同級生たちと先生とが輪になって、和気あいあいと学んだ。そんな懐かしい思い出がございます。そうした学生生活のなかから、私は、たくさんのものを得ました。きっと、皆さま方にも、仲間や先生と輪になって勉強するような授業があるでしょう。その時間を、十分に味わっていただきたいと思います。日藝は、とても自由な空気の中で、一人ひとりが創造力を存分に発揮できる校風です。どうぞ、この学生生活を思い切り楽しんでください。そして、卒業の際には、公演、制作、論文など、それぞれの成果を発表されることでしょう。それに向けて、精一杯がんばってください。

PROFILE

1946年、東京生まれ。1969年、日本大学芸術学部演劇学科卒業。同年、『助六由縁江戸桜』の助六、『勧進帳』の富樫を務め、10代目市川海老蔵を襲名。1985年、3カ月にわたる襲名披露公演にて、12代目市川團十郎を襲名。お家芸の歌舞伎十八番はもとより、荒事、世話物、義太夫狂言、新歌舞伎と多彩な役を演じ分ける。また、海外公演も積極的に行うほか、テレビドラマ出演も多数。2000年、第7回読売演劇大賞受賞。2007年、紫綬褒章受章。

【主な作品】

●歌舞伎『義経千本桜』(忠信、知盛、権太の3役)『勧進帳』(武蔵坊弁慶役)『助六由縁江戸桜』(助六役)『与話情浮名横櫛』(与三郎役)ほか多数●歌舞伎以外の舞台『華岡青洲の妻』(華岡青洲)『眠り王』(月の大王実は日本の帝)ほか多数●テレビ『大河ドラマ・花の乱』(足利義政役/1994年・NHK)ほか多数

宮嶋 茂樹 報道カメラマン

この48年間、苦労の連続でした。日藝のキャンパスで知り合った女性と結婚し、逃げられました。写真で食べられるようになったのは、30歳を過ぎてから。そんな苦労を母校は見ていてくれたのかと、今日ほど日藝を誇りに思ったことはありません。どうもありがとうございました。さて、新入生の皆さん。皆さんは、この校門をくぐりたくてもくぐれなかった人が何千人もいたということを心に刻み、選ばれた者の誇りと責任をもって、勉学に励んでください。先生方の笑顔は、今日まで。明日からは、鬼の形相で厳しい課題を次々に与えてきます。覚悟をもって臨んでください。己が選んだ学問と、一生かけて添い遂げてください。演劇もやりたいけれど音楽も…といったことは許されると思いますが。そして4年後、社会で、ステージで、スタジオで、お会いしましょう。楽しみにしています!

PROFILE

1961年、兵庫県生まれ。1984年、日本大学芸術学部写真学科卒業。写真週刊誌『フライデー』の専属カメラマンを経て、フリーに。1996年、東京拘置所に収監中の麻原彰晃の撮影に成功するなどのスクープにより、第3回編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞写真賞を受賞。現在は、報道カメラマンとして、日本国内はもとよりイラク、北朝鮮、アフガニスタン、コソボなど世界各地で精力的に取材を敢行。迫真の写真とルポルタージュは、高い評価を得ている。

【主な作品】

●写真集『人間 赤尾 敏』『ボスニアの微笑み』『不肖・宮嶋 in イラク』『不肖・宮嶋イツデモドコデモダレトデモ』『不肖・宮嶋 誰が為にワシは撮る』『任務?自衛隊イラク派遣記録?』など●ルポルタージュ・エッセイ『不肖・宮嶋 死んでもカメラを離しません』『不肖・宮嶋 南極観測隊ニ同行ス』『不肖・宮嶋青春記』など多数

日藝賞 歴代受賞者